私が住んでいるこの辺りの高原で一番に咲く桜は、少し濃いピンク色の「オオヤマザクラ」です。
山桜よりも少し大きく、花の直径は4.5cmもあり、別名は「エゾヤマザクラ」といいます。
さくらの短歌といえば、むかしからずっと好きだったのは、与謝野晶子のこの歌です。
清水へ祇園をよぎる桜月夜
今宵逢ふ人みなうつくしき
与謝野晶子
むかし京都に桜を見に行ったことがあるのですが、ちょうどそのときに、円山公園のしだれ桜(祇園しだれ桜)が、満開でした。この満開の桜の上に月が出ていたらすてきだろうなあと思ったのを思い出します。
最近惹かれるようになったのは、馬場あき子さんのこの短歌です。
さくら花幾春かけて老いゆかん
身に水流の音ひびくなり
馬場あき子
桜にかけて、ご自分の人生の老いをみつめていらっしゃるお姿は、凛としていていさぎよく、すてきです・・。
でもさくらの短歌といえば、やはり西行のこの歌が、いちばん好きかもしれません。
春風の花を散らすと見る夢は
さめても胸のさわぐなりけり
西行
西行は出家の身でありながらも、このようなどきっとするような妖艶とさえよめるような歌を残したのは、さすがといつも思います。